当社は、不動産売買の仲介業務を行っています。不動産を売りたいと言う方に、不動産を買いたいと言う方を紹介し、契約引渡しまでの諸般調整、あっせんを行うと言うもの。引渡しに至った際には、報酬として当社は仲介手数料を貰います。
不動産仲介業者は得てして、常に不動産を売ろうとしている方を見つけたい。取引したいと思っています。皆様のお家にポストにも、毎日のように、不動産屋からの「不動産売りませんか、不動産無料で査定します」と言った類のチラシが入っているのではないでしょうか。それは不動産屋が売主さんと取引するための営業活動の一環なのです。
当社も、チラシ投函も含めて、様々な手段で、売主さんとなる見込みがある方と接触を持とうとしています。
20年ほど前の話になります。平井に行政により区画整理を行い、きれいに整地された地域があります。その一区画が、暫く空き地となっていました。当方、その方に伝手があり、折に触れ、不動産を売りませんかと打診しておりました。
ある時、某ハウスメーカーの方が当社を訪ねてきました。偶々、その空き地に目を付け、当社に持ち主に伝手がないか聞いて来ました。ハウスメーカーの顧客が購入する土地を探しており、その土地は紹介するのにうってつけな土地であるとの事。
伝手がある旨、ハウスメーカーの方にお話しし、持ち主の方に売却を打診したところ、了承がもらえました。その後、数度のやり取りの上、契約日等々を打ち合わせました。だんだん契約日が近づいてきて来ました。ところが、なんと購入予定者の方とハウスメーカー担当者が連絡がつかなくなったと言うのです。購入予定者は外国籍の方。母国に帰られそれっきりになってしまっているとの事。契約の前の日になっても購入予定者へは連絡がついておりませんでした。止む無く、売主さんへ契約が取りやめになった事を伝えたところ、大変に気分を害されてしまいました。
即座に次の手を打ちました。世の中には、不動産を買うことを生業としている会社があります。建売業者と呼ばれる会社です。彼らは土地を買い、買った土地に新築住宅を建て販売します。取引先の建売業者に、当該地の情報を紹介すると、即座に購入するとの回答を得ました。買付証明書と言われる、購入意思を表した書面を発行して貰いました。
売主さんは、たいへん気分を害されております。お詫びするためにも、私は売主へ直接伺うことにしました。売主さんは、東京隣県の半島に住んでいます。最寄り駅に着いた時には、日が暮れていました。当時はスマホもグーグルマップもありません。地図を頼りになんとかご自宅を訪ねる事が出来ました。売主さんへ急遽契約が取りやめとなった事をお詫びし、新たな購入者がいることを伝え、了承いただきました。
売主さんは、親切に車で当方を最寄り駅まで送ってくれました。
深い安堵とともに私は電車に乗り込みました。途中ターミナル駅に着きました。下車して赤提灯にでも寄ろうかと思い、家人に了解を得るべく連絡を入れました。家人に咎められ、そのまま家路に着きました。
その後、その土地の取引は無事終えることが出来ました。
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