例えば事業を営んでいた親が亡くなり、自分が事業を引継ぐことになった時、それまで事業で使っていた減価償却資産はどのように処理して行けば良いのでしょう。
相続や贈与等で引継いだ事業用の資産の取得価額
限定承認以外の相続や贈与などで、亡くなった人(被相続人)が生前事業用に使っていた減価償却資産は、被相続人の取得時期や取得価額、耐用年数をそのまま引継ぐことになります。
相続で引継いだ相続人が引き続いて所有するとみなすので、被相続人の相続時の帳簿残高がそのまま引継がれます。
・帳簿残高とは
この帳簿残高とは、被相続人が資産を取得した時の価額から、亡くなるまで毎年計上した減価償却累計額を差引いた未償却残高です。
相続により引継いだ事業用資産の減価償却方法は?
ただし事業用財産はそのまま引継ぐとしても、償却費を計算する償却方法はそのまま引継がれる訳ではありません。新しく税務署に減価償却方法を届け出る必要があります。
もし届出を行わなかった場合には、通常の資産の場合、定額法で減価償却費を計算することになりますので、定率法で減価償却費を計算している場合などは注意しましょう。
建物の減価償却方法は定額法
2007年3月31日以前に取得した一定の減価償却資産で、それぞれの年に不動産所得金額を計算する際、必要経費として算入された金額の累積額が償却可能限度額(建物は取得価額の95%相当額)に達している場合の償却方法にも注意が必要です。この場合には、未償却残額を達した年分の翌年分以後5年間で、1円まで均等償却します。
なお、年の中途で亡くなった場合の経費として算入される金額の計算方法は、償却費の額に相当する金額を12で割って、さらにその年1月1日から亡くなった日までの期間の月数を掛けて計算することになります。
建物などの資産の償却方法に注意
2007年4月1日以後に建物を取得した場合の減価償却方法は定額法とされていますが、相続、遺贈、贈与によるものも含みます。なお、減価償却資産の取得価額や未償却残額は、相続で取得得した者が引き続き所有していたものとみなされます。
建物付属設備や構築物なども、2016年4月1日から定額法のみに一本化されていますので注意しましょう。
相続で事業を引継ぐ際には減価償却方法など確認を
なお、相続開始年の減価償却は、被相続人の準確定申告での償却月数、それに相続人の確定申告の償却月数を合わせた13か月になる点にも注意が必要です。
相続で減価償却資産を取得した場合には、事業所得金額を計算する際に、被相続人の取得時期や取得価額、耐用年数を引継ぐことになりますが、償却方法までは引継がないという部分を忘れない様にしましょう。
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