相続の事を考えると、子供にすべて渡してしまうと、孫の代に変わる時にまた相続税がかかってしまいます。将来を見据えてあらかじめ孫に相続させたいと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか?孫に資産を相続させたい時に知っておきたい事についてお話しましょう。
■確実なのは遺言を残すこと
法定相続人の順位は、①子、②親、③兄弟となっています。①の子が亡くなっていて孫がいる場合には、孫が①になります。直系卑属が優先される形で順位が決まります。
子と孫に同時に相続させたい場合や、子ではなく孫に相続させたいといった場合、何も対策をしていないと、孫の相続が認められないかもしれません。
遺言があれば、亡くなった人の意思を尊重して相続が行われます。
法定ルールを変更して、遺言の内容を反映させた相続ができるので、孫への相続を考えているなら、遺言を作成しておくべきです。
また、遺言の内容について、あらかじめ関係者の了解を得ておくとトラブルを避けられます。
遺言のもっともカンタンな残し方は、「自筆証書遺言」です。
遺言の内容と、生年月日、自筆署名、押印で民法上有効な遺言となります。
公的な力の強い方法としては、「公正証書遺言」があり、公証人役場で2名の証人を立てた上で行います。
■孫を養子縁組して法定相続人にする
相続税の控除額は、法定相続人が一人増えるごとに600万円増額します。
あらかじめ孫を養子縁組で子と同じ扱いにしておけば、子が生きているケースでも法定相続人にすることができます。
7,000万円を相続する時、子1人だけが相続する時、控除額は3,600万円となり、3,400万円が課税対象ですが、孫を養子縁組した場合には、4,200万円が控除され、課税対象額は2,800万円となります。
国税庁公式サイトの速算表によれば、養子縁組ありで相続した場合227.5万円もの違いが出てきます。
相続額が大きい場合には、養子縁組を検討する余地があるでしょう。
(参考)No.4155 相続税の税率
■生前贈与を利用する
孫に財産を残したい場合、生前贈与の控除額110万円を利用した贈与を繰り返す方法があります。
ただし110万円を10年に渡って贈与し続けた場合、1100万円の贈与として扱われる可能性がありますから、その年によって金額を変える、111万円の贈与にして贈与税を1,000円払うといった工夫が必要です。
生前贈与では、住宅取得資金、学費、結婚資金について優遇される制度がありますから、状況にあわせてどんな方法で資産の引き継ぎを行うか検討すると良いでしょう。
また、不動産の占める割合の大きな相続では、相続税の支払いに現金が不足するケースがあります。元気なうちに住宅を売却して、孫の援助にあてるといった選択肢もありますね。
(参考)No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
コメント