活用方法が決まらない家を空き家のまま所有しているというケースが増えています。野村総合研究所が発表した予測(16年6月)によると、33年には約2150万戸にまで空き家が増加していくといいます。空き家を持っている場合のデメリットと、対処方法についてお話しましょう。
■特定空き家に指定されたらどうなる?
平成27年5月に空家等対策の推進に関する特別措置法が完全施行され、特定空き家に指定された建物の取り壊しの強制執行がいくつも実行されました。
特定空き家の条件は…
① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③ 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
④ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
(国土交通省)
今にも倒壊しそうな空き家やゴミ屋敷が近所にあったら、早く撤去して欲しいと思う住民感情は当然ですね。
特定空き家に認定された場合には、固定資産税の『住宅用地などの特例』も受けられなくなりますから、固定資産税が最悪6倍に跳ね上がる可能性があります。
人が住まずに放置された住宅は、傷みが早く進みますし、特定空き家になるのではと心配するより先に手を打つ必要があります。
■売りたくても買い手がつかないのでは…
はじめのうちは、思い出のある家を売ることに抵抗があったというケースでも、住むことができないまま何年も固定資産税を支払い、3ヶ月に1度様子を見にいくという生活に疲れたというKさん。
相続してから3年が過ぎ、思いのほか傷みが気になる箇所が出始めたといいます。
売るとしたらリフォームするか、更地にするしかないのかと考えていますが、かけた費用よりも高く売却できるのか考えるとなかなか踏み切れません…
■相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
こうしたKさんのような方は多いですが、相続から3年以内に譲渡した場合には、取得費の特例を受けることができます。決めるなら3年以内がポイントになります。
(参考)国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
■現状でも売却できる方法がある
古い家を売る時に、見栄え良くリフォームしてからでなければ売れないとアドバイスされることがあります。
しかし、最近では、ストック住宅の活用が国策として進められ、瑕疵保険やホームインスペクションの制度も整ってきました。
古い住宅を現状のまま買い上げて、プロの技術で生まれ変わらせて高く売ることができる業者もあらわれています。
中古物件の取扱を得意としている業者では、現状渡しでの高価買い取りに対応していますから、住宅が傷まないうちに、こうした業者に相談すると良いのではないでしょうか。
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